電子制御は何をしている?トラクションコントロール/E-Diff/マネッティーノ入門。

現代のフェラーリには、さまざまな電子制御が搭載されています。カタログを見ると「トラクションコントロール」「E-Diff」「マネッティーノ」などの専門用語が並びますが、要するに「ドライバーが無理をしても、クルマがそっと支えてくれる仕組み」と考えるとイメージしやすくなります。
トラクションコントロールは、タイヤが空転しそうになったときにエンジン出力を抑えたりブレーキを個別に当てたりして、「路面をしっかりつかむ状態」を保とうとする機能です。458イタリア や 488GTB のようなハイパワーなミドシップモデルでは、この制御があることで、一般道でも安心してアクセルを踏めるようになっています。
E-Diff(電子制御ディファレンシャル)は、左右の後輪にどれだけ駆動力を配分するかを電子的にコントロールする装置です。コーナーの出口で内輪が空転しそうなとき、外側のタイヤにより多くのトルクを送ることで、クルマを前へ押し出す力を最大化します。F430 以降のモデルで採用が進み、サーキットでも「うまくなったように感じる」乗りやすさに貢献しています。
マネッティーノは、ステアリングに付いた走行モード切り替えダイヤルのこと。ウェット、スポーツ、レースなどのモードを切り替えることで、トラクションコントロールやE-Diff、サスペンションの設定が一括で変化します。これにより、同じクルマでも「安全重視の顔」と「限界を楽しむ顔」を簡単に切り替えられるようになりました。
電子制御は複雑に見えますが、要するに「昔ならプロドライバーだけが扱えた性能を、多くの人が安全に楽しめるようにするための技術」です。フェラーリの20台を並べてみると、年代が新しくなるほど電子制御が高度化し、乗りやすさが増している流れが見えてきます。