なぜフェラーリのエンジンサウンドは特別と言われるのか。

フェラーリの魅力として必ず挙げられるのが、「エンジンサウンド」です。単に「音が大きいから」ではなく、「どのように音が変化していくか」「どこで感情を揺さぶるか」まで計算された音作りが行われています。
まず気筒数と回転数。V12エンジンは点火間隔が細かく、回転が上がるにつれて音が滑らかに連続していくのが特徴です。275GTB や デイトナ、812スーパーファスト の高回転域では、「一本の音の線が上に伸びていく」ような感覚が得られます。一方、F40 のようなターボ付きV8は、やや荒々しく爆発的なサウンドで、「ブーストがかかる瞬間」の演出が強くなります。
排気系の設計も重要です。パイプの長さや太さ、レイアウト、サイレンサーの構造などを変えることで、音の高さや太さ、響き方がガラリと変わります。458イタリア や 812スーパーファスト のサウンドは、「高回転での伸び」と「中回転での厚み」を両立させるようにチューニングされており、踏み増すごとに気持ちよくテンションが上がっていくような音階を描きます。
電動化が進む中でも、フェラーリは SF90ストラダーレ のようなモデルで、「モーター走行時の静けさ」と「エンジン始動後の高揚感」のコントラストを演出しています。これからの時代、音の出し方はさらに変化していきますが、「音も含めてドライバーの感情をデザインする」というフェラーリの姿勢は変わらないはずです。