V12・V8・V6エンジンの違いとキャラクターの差。

エンジンの説明でよく出てくる「V12」「V8」「V6」という言葉は、気筒の数と配置を表しています。 数字が大きいほど気筒数が多く、同じ設計なら排気量やパワーを稼ぎやすくなりますが、単純に「多ければ偉い」とも限りません。
・V12:12気筒。高回転まで滑らかに回り、回転バランスに優れたレイアウト。 ・V8:8気筒。パワーとコンパクトさのバランスが良く、スポーツカーに多く採用される。 ・V6:6気筒。軽量・コンパクトで、前後重量配分を整えやすい。
フェラーリ 125 Sや250GTO、812スーパーファストのようなV12モデルは、 「高回転まで途切れず伸びていくフィーリング」と「オーケストラのようなサウンド」が最大の魅力です。 エンジン自体がブランドの象徴であり、フラッグシップにふさわしい存在感を持っています。
一方、360モデナやF430、458イタリアといったV8ミドシップモデルは、V12よりもコンパクトな分だけ車体中央に配置しやすく、 キビキビとしたハンドリングを実現しやすいレイアウトです。V8独特の乾いたサウンドも、スポーツカーらしい刺激として愛されています。
V6はディーノ 246GTに代表されるように、「軽さ」と「コンパクトさ」が武器です。絶対的なパワーよりも、 コーナーの切り返しやブレーキング時の挙動の軽さにつながり、結果として「振り回して楽しい」キャラクターを作りやすくなります。
現代では、排気量ダウンとターボ化、電動化により、「何気筒か」だけでは語れない時代になってきました。 それでもフェラーリがV12を守り続け、V8やV6を用途に応じて使い分けているのは、 スペック以上に「音」「回り方」「ブランドストーリー」といった、目に見えない価値を大切にしているからです。