フェラーリのフラッグシップと量販モデルの違い(V12 vs V8)。

フェラーリのカタログを眺めていると、「V12を積んだモデル」と「V8を積んだモデル」が並んでいることに気づきます。ざっくり言うと、V12はブランドを象徴するフラッグシップ、V8はフェラーリの世界にもっと多くの人を招き入れる量販スポーツという役割を担ってきました。
275GTB や 365GTB/4 “デイトナ”、812スーパーファスト のようなフロントV12クーペは、「どこまでも速く、どこまでも遠くへ」というグランドツーリングの世界観を体現するモデルです。大排気量V12の滑らかさと余裕あるトルク、長いボンネットを構えたプロポーションは、「これぞフェラーリの王道」と感じさせるものがあります。
一方で 308GTB 以降のV8ミドシップモデルは、よりコンパクトで軽快なスポーツカーとして、日常とサーキットの両方を楽しめるポジションを担ってきました。360モデナ、F430、458イタリア、488GTB と進化していく中で、シャシーや電子制御の性能が高まり、「毎日乗れるスーパーカー」としてのキャラクターが強まっていきます。
どちらが上でどちらが下、という単純なヒエラルキーではなく、「V12はブランドの最上段にある象徴」「V8はフェラーリらしさをより身近に提供するスポーツモデル」という棲み分けと考えると分かりやすくなります。ラインナップの中で、それぞれが違う役割を持っているからこそ、フェラーリというブランドの世界観に厚みが生まれているのです。