自然吸気(NA)とターボの違い:フィールとサウンドの話。

カタログスペックを見ると、ターボエンジンは少ない排気量で大きなトルクとパワーを発生できるため、 自然吸気(NA)よりも「優れている」ように見えるかもしれません。しかし、実際の乗り味やサウンドまで含めて比べると、 両者にははっきりとしたキャラクターの違いがあります。
自然吸気エンジンは、文字通り空気を自然に吸い込んで燃焼させる方式です。アクセルの踏み込み量とエンジン回転が ほぼダイレクトにリンクし、「踏んだ分だけ回転が伸びていく」一体感が魅力です。フェラーリ 458イタリアのような 高回転型NA V8は、回転を上げていくほどサウンドが変化し、9,000rpm近くまで一気に吹け上がる快感があります。
一方、ターボエンジンは排気ガスのエネルギーでタービンを回し、より多くの空気を押し込むことで出力を高めます。 フェラーリ 488GTBの3.9L V8ツインターボのように、中低速から太いトルクを発生できるのが大きなメリットで、 街中や一般道の速度域でも「軽く踏んだだけでグッと加速する」扱いやすさがあります。
一昔前のターボは「ターボラグ」と呼ばれるタイムラグが問題でしたが、現代のフェラーリでは電子制御や過給制御の進化により、 NAに近いレスポンスを実現しています。それでも、 ・NA:回転を上げていくほど盛り上がる、リニアで高回転志向の楽しさ ・ターボ:低回転から力強く、日常域でも余裕のある加速 という違いは残っています。
どちらが正解というよりも、「どの速度域で気持ちよさを感じたいか」で選ぶイメージです。 サーキットやワインディングで高回転を楽しみたいならNA、街中や高速道路でのトルク感を重視するならターボ――。 フェラーリはその両方を高度なレベルで作り分けてきたメーカーだからこそ、時代ごとの違いを比較してみると面白さが増してきます。