GTカーって何?「グランドツーリング」という考え方。

「GTカー」という言葉はよく聞くものの、厳密に定義しようとすると少し曖昧な存在です。 GTは「Gran Turismo(グランドツーリング)」の略で、もともとは「長距離旅行」を意味する言葉でした。
そこから転じて、 ・高速道路を長時間・高速度で移動しても疲れにくい ・荷物や同乗者もそこそこ載せられる ・それでいてスポーツカーとしての楽しさも持ち合わせている といった要素をバランス良く備えたクルマを「GTカー」と呼ぶようになりました。
フェラーリ 275GTB/4や365GTB/4 “デイトナ”は、まさにクラシックGTの代表格です。 フロントにV12エンジンを積み、ロングノーズ・ショートデッキの美しいクーペボディで、 高速道路を何百キロと走り続けることを前提に設計されています。
現代ではフェラーリ ローマや812スーパーファストがGT的な立ち位置を担っています。 サーキットで限界を攻めることもできますが、むしろ真価を発揮するのは、 夜の高速道路や、見通しの良い国道を「少し速いペースで、しかし無理なく」流すようなシーンです。
GTカーを選ぶときのポイントは、 ・シートやサスペンションが「硬すぎない」こと ・静粛性とサウンドのバランスが取れていること ・巡航速度100〜140km/h付近が一番気持ちいいこと などです。サーキットタイムよりも、「移動そのものがご褒美になるかどうか」を基準に眺めてみると、 GTカーというジャンルの魅力がぐっと分かりやすくなります。